第7回 農業経営の確立をめざして

長野県上田市上室賀
S・Tさん(34)
−プロフィール−
約13アールでズッキーニを栽培するほか、ホウレンソウ・コマツナなどの野菜を栽培。また、おもに父親が手掛けている約1.5ヘクタールでの米栽培やアスパラガス栽培を手伝っている。
(写真は冬場のハウスでのホウレンソウやミズナ栽培の現場にて撮影)

訪ねるとビニールハウスの中で野菜のようすを見ていたSさん。
現在、父親とともに、米やアスパラガス・ズッキーニなどの野菜を栽培している。

春が訪れると就農4年目を迎えるSさんが、当初から強く意識しているのが「収入」だ。
「就農1年目は父親に言われたことをやっていただけでしたが、今の規模だと2人分の収入としては足りないので、自分自身の収入源になる何かを作らないといけないと感じました」と、すぐに自分の農業経営を考え始めたSさん。
「まずは何か作ろう」と考えていたときに、JAの営農センターから「防除も少なく、比較的簡単に栽培できるからやってみないか」とすすめられたのがズッキーニだった。

そして、就農2年目にはズッキーニの栽培をスタート。
作業が忙しいときは手を借りることもあるが、基本は一人での栽培だという。
「麦を収穫した後の水田で作ったり、畑で作ったりして、2年間でいろいろなことを試したり、学んだりしました。
収入については、現段階ではまだ栽培面積が小さいですから、収量があがらない分、生産にかかるコストを気にしています。
とくに農薬は、自分が農業を始めてみて大きなコストだと感じているので、病害虫が発生しないように種をまいてすぐトンネル資材で覆ったり、雑草が生えないようにもみ殻で覆ったりしています。
今のところ良いズッキーニが収穫できているので、これからも作っていきたいと思っている作物です」
と、ズッキーニ栽培の勉強をしながら、収入面に対しての意識も欠かさない。

一方で、「農業は勤め人のように毎月の収入があるわけではないし、天候に左右されるなど、年によって収入が変動します。
だから、ある程度の収入と経営安定のためには、コストを減らすことだけではなく、規模拡大などが必要になってくると感じています。
ズッキーニの栽培面積はもちろん、野菜でもう1つか2つ経営の軸になりそうな作物を見つけたい」と、思い描いている。

「とにかくまだ始まったばかりですし、自分は学校とかで農業の勉強をしてきたわけではないから、今は本当に勉強・準備期間です。これからも農業の基本をしっかり学んで、この土地に合った作物や経営を見つけていきたい」と、Sさん。
時折軽く微笑みながら、終始謙虚に話すSさんだが、今と将来の両方をしっかりと見つめながら話す言葉には、今後の活躍を期待せずにはいられない力強さと頼もしさが溢れていた。